部分所有/フランチャイズ

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フランチャイズ/分割所有

部分所有(Fractional Ownership)

顧客が資産の全体ではなく、一部だけを購入するビジネスモデルを「部分所有」と呼んでいます。顧客にとっては、通常なら手が出ない高額商品を購入できるようになるメリットがあり、販売側からすれば、小分け販売の価格の合計額を一括販売の場合よりも高くすることで、より多くの利益を得ることができるメリットがあります。また、通常では商品に手を出せなかった層が新たに顧客となりうるため、顧客層そのものが広がるという利点もあります。

部分所有は組合の形式を取ることが多く、管理会社が資産の保守管理やルール策定を行うことも一般的です。

マジック・トライアングルに当てはめると、「何を売るのか(What?)」「顧客は誰か(Who?)」「製品やサービスをどのように提供するか(How?)」そして「なぜ儲かるのか(Why?)」の四つ全ての項目を変革するモデルということになります。

このモデルの歴史と活用事例

部分所有モデルは、元を辿れば20世紀初頭の共産主義ロシアにおける集団農場の運営に端を発するといいます。

これを一般企業のビジネスに導入したのは、米国で航空機の部分所有ビジネスモデルを作り上げたネットジェッツ社でした。1960年代に同社が立ち上げたモデルでは、顧客は部分所有によって航空機の飛行時間の一部を割り当てられ、個人で飛行機を所有する場合と同等の利便性を得ることができました。同社の試みにより、自家用飛行機の市場に新しいセグメントが誕生したのです。

リゾート地の別荘を取り扱うスイスのハピマグ社や、自動車にこのモデルを転用した同じくスイスのモビリティ・カーシェアリング社、超高級車にそれを拡張した英国のイーキュリー25社など、部分所有によって顧客の満足感を満たすサービスを提供し成功している企業は多くあります。人々の住宅購入費用を助ける英国政府の事業「ホームバイ」のように、国家がこのモデルを採用する例も生まれています。

部分所有をどう活かすか?

部分所有モデルは、不動産や航空機のように、顧客が資産の共有を希望する業界において伝統的に上手く機能してきました。時間の経過にともなって資産価値が増していくような分野ではさらに有用といえます。

このビジネスモデルを自社で活用するにあたっては、資産共有に際して顧客のリスクを最小化できるようなスキームの確立や、製品を利用する権利の有効な分割方法、また顧客が共同所有を解消したくなったときの契約終了の仕組みなどを作り込む必要があります。

フランチャイズ(Franchising)

誰もが知る「フランチャイズ」の仕組みは、フランチャイザー(本部、主催者)が自社ビジネスモデルの利用権を販売し、フランチャイジー(加盟者)は自己責任に基づいてビジネスに加盟するという形をとっています。本部にとっては、リスクの受容とリソースの調達から解放されて迅速にビジネスを展開できるメリットがあり、加盟者にとっては、独自に新たなビジネスモデルを考え出すことなく、競争優位性が実証済みのモデルを利用できるというメリットがあります。

マジック・トライアングルに当てはめると、「何を売るのか(What?)」「製品やサービスをどのように提供するか(How?)」そして「なぜ儲かるのか(Why?)」の三つを変革するモデルということになります。

このモデルの歴史と活用事例

フランチャイズの歴史は、中世ヨーロッパにおいて、王の名のもとで商品を作る権利を授けた制度にまで遡ることができるといいます。

19世紀半ば、米国でミシン製造販売を手がけるシンガー社は、企業として初めてフランチャイズの仕組みを利用したビジネスを展開しました。それ以降、数多くの企業がフランチャイズで成功を収めてきましたが、その最たる例はなんといってもハンバーガーチェーンのマクドナルドでしょう。同社は、フランチャイズの最大の特徴である「標準化」を徹底することで、世界119カ国に店舗を構えるほどの巨大チェーンとなったのです。

サブウェイ、ピザハット、ケンタッキーフライドチキン、スターバックスなどの飲食業界はもちろんのこと、マリオット・インターナショナル社などのホテル業界でもフランチャイズのモデルは成果を上げています。変わったところでは、セメントやコンクリートなどを扱うスイスのサプライヤーであるホルシム社がインドネシアで立ち上げたフランチャイズ事業は、現地の住宅建設業者に広く受け入れられ、数年で180もの店舗をインドネシア各地に展開するまでに成長しています。

フランチャイズをどう活かすか?

フランチャイズのモデルが特に有効になるのは、自社が既にノウハウやブランド力を確立済みであり、リスクの低減と急速なビジネス拡大を望んでいる場合です。

このモデルを成功させるためには、まず、自社の策定するルールを受け入れてまで加盟者が契約したくなるほどの魅力を打ち出せるかどうかを考える必要があります。加盟者をバックアップするためのプロレスやITシステムの作り込みも欠かすことができません。

さらに、フランチャイズにおいて落とし穴となりうるのがノウハウの模倣です。自社独自のノウハウを言語化して広く頒布するわけですから、無秩序な模倣を防ぐための法的・実務的手段を講じておかなければなりません。さらに、加盟者が自社のネットワークから離脱することを防ぐ施策についても考えるべきでしょう。