第9回 ブランディングとSNS

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SNSを利用したWEBブランディング

現在、WEBサイトと並ぶ情報ツールとして重要な位置を占めているのがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。中でも、実名登録制によって現実の生活と密接にリンクするようになった「Facebook」、誰もが手軽にツイートを発信できる「Twitter」の二つは、最も一般的なSNSとして今後もその地位が揺らぐことはないでしょう。

これらSNSの重要性が高まるにつれて、ブランディングにおいてもこれらを利用する企業が増えてきました。WEBブランディングの中心を担うのがあくまでコーポレートサイトであることに異論はないでしょうが、その脇を固めるツールとして今やSNSはブランディングに欠かせないものとなっているのです。

具体的には、Facebookでは企業名義の「Facebookページ」上で記事を更新して「いいね!」の反応を集め、Twitterでは企業名義のアカウントで色々なツイートを発信してリツイートを集めるという活動がなされます。発信内容は企業や商品・サービスのスタイルにもよりますが、純粋に商品やサービスに直接関わる内容を発信するだけでファンを獲得できているところもあれば、コラム的な投稿やいわゆるネタ系の投稿でファンを獲得しているところもあります。こうしたSNSブランディングを行う主体は営利企業に限らず、役所や自衛隊などのお堅い機関が敢えてネタ系の発信を行うことでファンを集める事例も近年増えてきました。

SNS活用によるブランディングの手法

Facebookページや各記事への「いいね!」数を増やしたり、Twitterアカウントのフォロワー数やリツイート数を増やすことは、SNSブランディングにおける一つの目標といえます。しかし、単純なファン数だけでは、ブランディングとしての価値を持ち得ないのも事実です。ファン数を獲得することはSNSブランディングのゴールではなく、むしろ前提条件ととらえるべきでしょう。

SNSブランディングにおいては、「いいね!」やフォロワーの数を獲得するだけにとどまらず、ユーザーの主体的な取り込みを行う必要があります。記事の投稿やツイートなどの効果的なコンテンツ投下を通じ、見に来たユーザー自身をSNS上でのやり取りに参加させることで自社ブランドへのロイヤリティを高めるのです。

WEBサイトにはないSNSの最大の利点は、ひとたび記事やツイートを投下し、ユーザーがそれに反応してくれると、そのユーザーとSNS上で繋がりのある多くのユーザーの画面にも自動的にコンテンツが拡散されることです。そうした効果を狙うためにも、SNS上で拡散されるコンテンツは、多くの人が興味を持ちやすく、また反応を返しやすいものにするべきでしょう。簡単に言えば「突っ込みどころ」が多いコンテンツが望ましいということです。ただし、あまりネタ的な投稿に寄り過ぎてしまうと、本来醸成したいブランドイメージを離れてネタ的投稿だけが空回りしてしまうという事態も有り得ますので、バランス感覚は大事にしなければなりません。

SNSブランディングの成功例

SNSを利用したブランディングの成功例として、国際的にもよく知られているのが、米国のファミリーレストランチェーンである「デニーズ」です(日本のデニーズは同社から商標権を買い取って運営されているもので、ほぼ別物と思って構いません)。米国の本家デニーズは「アメリカン・ダイナー」のフレーズとともにブランディング戦略を展開しており、「アメリカン・ダイナーといえばデニーズ」という強固なブランド認知を確立させています。

デニーズが強固なブランドイメージを築き上げることができた理由は、SNSを通じたブランディングに力を入れてきたためだと言われています。同社は、僅か一年の間にTwitterのフォロワー数を1.3倍(約5万人)増加、TwitterやFacebookと並ぶSNSであるTumblr(タンブラー)のフォロワー数を2.5倍(約13万人)増加させています。TwitterにせよTumblrにせよ、単にブランドの宣伝的な投稿をしているだけではそれほどファンは増えません。ユーザーに「ウケる」SNS投稿を徹底するためにデニーズが取った方策は、SNSを自社スタッフの手で更新するのではなく、大手の広告代理店にSNS運用を委託することでした。第三者である広告代理店の方が、ユーザーに近い感覚で投稿内容を練り上げることができるというわけです。

この作戦が見事に奏功し、デニーズのSNSは一躍人気を集めました。常に最新のニュースを投稿することはSNSの鉄則の一つですが、デニーズはそれだけにとどまらず、イベントに関する内容を発信したり、顧客層が日常的に話題にするような内容をユーモアを交えて展開するなど、変化に富んだコンテンツを提供しています。ともすれば好き勝手な内容を投稿しているように見えるかもしれませんが、デニーズは広告代理店と度重なるミーティングを行い、ブランディングのビジョンやSNSの投稿ルールを厳密に詰めて運用しているとのことです。それによって、一見ランダムなようで実は選び抜かれた優秀なコンテンツが定期的に発信され、ユーザーから高い人気を誇っているというわけです。

こうした優れたSNSブランディングの手法に学びつつ、自社のサービス内容やターゲットユーザーの性質を熟慮して、それぞれのブランドに合ったSNS運用を行っていくことが重要です。