第8回 ブランディングとコーポレートサイト

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コーポレートサイトがブランディングで果たす役割

消費者があらゆる情報をインターネット経由で収集するようになった現在、企業のWEBサイト、即ちコーポレートサイトがブランディングで果たす役割が大きいことは否定できません。しかし、コーポレートサイトを運用している企業の中には、その活用法に頭を悩ませていたり、サイトの持つポテンシャルを認識しきれずに持て余しているところも少なくないようです。そうした企業は、サイト運用の目的やゴールを明確化することができておらず、多くの情報を雑多に羅列するだけになってしまっていることが多いように見受けられます。

先の記事で述べたように、ブランディングは消費者に何らかのベネフィットを与えなければなりません。その点を意識せずに行われる施策はブランディングたりえず、企業の勝手な空回りになってしまいます。この原則に照らせば、コーポレートサイトの運用においても、サイトを訪れる消費者の視点に立って考えることが何より重要だということになります。サイトを見にくるユーザーのニーズを把握し、求められている情報を的確に提供することができれば、その企業に対する評価や信頼が向上し、ブランディングに繋がるのです。

コーポレートサイトが未整備だとどうなるか?

今や多くの企業がWEBブランディングに乗り出しているとはいえ、まだまだサイト運用に意義を見出せない経営者は依然として存在しているのが事実です。「ウチは地域密着の商売で、ネットで世界中に情報を発信する必要などないから」とか、「そういうのは大企業がやることで、ウチのような中小企業には関係ないんじゃないの」といった声も多く聞かれます。サイトを開設するのもタダではありませんから、費用対効果を考えて躊躇ってしまう場合も多いでしょう。

しかし、誰もがパソコンやスマホで情報収集するのが当たり前となった現在では、サイトを持っていなかったり、サイトが古いままだったりするのは単純にブランディングにおいてマイナスなのです。企業のコーポレートサイトを閲覧しに来るのは、購買層は勿論のこと、マスコミ関係者、就職希望者、自社の社員など多岐にわたる属性のユーザーです。サイトのデザインが古い、情報が雑多で整理されていない、ユーザビリティが悪いなどの状態を放置しておくことは、機会損失やブランドイメージの低下に直結します。

ブランディングは競合他社を出し抜く武器であると同時に、他社に先手を取られないための防御手段でもあります。自社が古いサイトを放置している間に、競合他社は時代の最先端をゆくデザインやシステムを盛り込み、全力でこちらのサイトを時代遅れにしようとしてきます。否が応でもそうした競争に巻き込まれていることを認識し、危機感を持ってWEBブランディングに臨まなければならないのです。

ブランディングに役立つサイトの在り方とは?

それでは、企業側の一方的な空回りにならないコーポレートサイトの在り方とはどのようなものでしょうか。言い換えれば、それはサイトを見に来る人に適切なベネフィットを与えられるサイトの在り方ということになります。

ブランドを構成するベネフィットには、機能ベネフィット、情緒ベネフィット、自己表現ベネフィットの3種類がありました。WEBブランディングにおいては、どのようなユーザー層に、どの種類のベネフィットを提供したいのかを明確化しなければなりません。購買者、就職希望者、株主、投資家など、企業に関わるステークホルダーは多岐にわたりますが、発信したい相手に合わせたコンテンツ内容や、効果的な導線を設計することが必要不可欠になります。市場の拡大や海外進出も視野に入れるなら、サイトの多言語化などのグローバル対応も必須でしょう。

また、ブランドの発信にWEBサイトという媒体を選択する以上、WEBと紙媒体の違いも意識しなければなりません。紙のパンフレットと同じ内容をそのまま載せただけのサイトにはユーザーは食いつかないのです。大胆なデザインや鮮やかな画面、音声や動画などのコンテンツ、インタラクティブ(双方向)なインターフェース、それにFacebookやTwitterといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)との連携など、WEBならではの要素を有効に活用しましょう。

さらに、WEBが紙媒体に対して有利な点といえば、迅速かつ経済的な情報更新が可能であることも挙げられます。何か月も新着情報が無いようなサイトには、ユーザーは見向きもしなくなります。ひとたびサイトを開設したからには、高頻度の更新を最適なコストで行えるような仕組みを整えるべきでしょう。これとやや関連しますが、一社で複数のサイトを管理する場合や、サイトの管理担当者が複数人にわたる場合、見た目や動作が不揃いにならないよう、文章のニュアンスやHTMLの記述方針、更新作業などを共有で管理できる仕組みも必要になってきます。同じ企業であっても事業部ごとにサイトの見た目がマチマチだったり、更新担当者によって記事の雰囲気が全く違っていたりすることがありますが、これはブランディングの観点からは好ましいことではありません。

最後に、企業や商品・サービスのイメージがしっかりとデザインに反映されていることが重要です。沢山ある「見栄えの良いサイトの中の一つ」に埋没してしまってはブランディングにならないのです。コーポレートカラーやロゴマークは勿論のこと、細かなインターフェースやパーツのデザインに至るまで、自社のブランドに紐付いたデザインとしてユーザーに認識されることを目指す必要があります。