第5回 WEBを利用したブランディング

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Young woman usign laptop in office

先の記事で見たように、ブランディングの実施にあたっては、まずブランド・アイデンティティを明確化し、抽象的なブランドメディアへの落とし込みを経て、可視的なブランドメディアで社会に発信するという手順を踏むのが一般的です。ここで重要なことの一つが、可視的なブランドメディアをどの媒体に載せて発信するかという点です。言い換えれば、ブランドから消費者に情報を届けるルートとして何を選ぶかということです。

消費者がブランドから情報を受け取るルートには様々なものがあります。販売店やスタッフを通じた宣伝、マスメディアを通じた広告などが従来は重視されてきましたが、近年、それらに勝るとも劣らない影響力を持つに至っているのがWEB媒体です。多くの人がパソコンやスマートフォンで日常的に情報収集を行っている現在、WEBサイトやSNSを通じた情報発信はブランディングの要となるものなのです。

WEBブランディングとは?

その名が示す通り、WEBブランディングとは、コーポレートサイトやSNSなどのWEB媒体を使って、企業や商品・サービスのブランドを確立していく活動を指します。最もイメージしやすいのは、企業のWEBサイト(コーポレートサイト)を通じたものでしょう。

コーポレートサイトは、原則として企業が自社のみの力で持つことができるメディアです。インターネットの普及以前は、企業がメディアに露出する手段といえば、第三者であるマスメディア媒体に記事として取り上げられるか、広告料を支払って媒体の広告スペースを購入するくらいしかありませんでした。しかし、WEBの利用が一般的なものとなった現在では、企業は広告費用やスペースの制限に悩まされることなく、コーポレートサイトを通じて膨大な情報を世の中に発信することができます。

それに加えて、ビジネス用のTwitterアカウントやFacebookページを持つ企業も最近は増えてきました。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と呼ばれるこれらの媒体を上手に利用すれば、WEBサイトよりも効果的にユーザーに情報を届けることもできます。SNSを通じて直接商品やサービスを売るというよりは、消費者の興味を喚起する内容を広く発信し、ブランド連想を高めていくのがこれらの活動の狙いと言えます。

WEBブランディングの利点

WEBブランディングの最大の利点の一つは自由度の高さです。WEBサイトを通じた発信ならば、世界中に情報を届けることもできますし、逆に自社の想定するターゲットユーザーに絞った広告活動を行うこともできます。発信する内容についても、デザイン、キャッチコピー、動画など、多種多様な内容を自由に配置することができる利点があります。

もう一つの最大の利点は、その他の媒体と比べて遥かに安価であるということです。紙媒体にせよ映像にせよ、通常、マスメディアを通じて広告を打つのには一般の予想を大きく上回る費用がかかります。しかし、WEBサイトであれば、デザインやシステム開発にかかる諸費用を差し引いても、マスメディアの広告費と比べて圧倒的に安価で情報発信することができます。ブログやSNSを通じた情報発信はサイトよりも更に安価になります。

また、見る側の視点からすると、TVのコマーシャルなどはリアルタイムのものですが、WEB上の情報は好きなときに好きなだけ時間を割いて参照することができるという利点があります。時間を掛けて見てもらうことができれば、それだけブランドの名称やロゴ、キャラクターなどの認知も高まります。ブランディングという観点で考えると、これが最大の利点かもしれません。

WEBブランディングの注意点

WEBがブランディングに有益なツールだと言っても、良い面ばかりではなく、そこには注意点もあります。まず、多くの方が陥ってしまいがちな盲点として、WEBサイトをただ開設しただけでは消費者は見に来てくれないということが挙げられます。コーポレートサイトへの来訪者数は、企業や商品・サービスの知名度に応じて高くなります。しかし、その知名度は本来、マスメディアなどWEB以外の媒体を通じて形成されたものです。誰にも知られていない企業のサイトには、当然、そのままでは誰も来てくれないのです。そこで、広告によって集客することが必要になります。WEBを通じたブランディングに取り組むにあたっては、まずはWEBサイトそのものをブランディングしなければならないということです。

WEBサイトへの導線を設ける方法として、現在ではリスティング広告やバナー広告といったWEB上の広告媒体も発達していますが、より広いユーザーへの波及を考えるなら、TVや雑誌といった「WEB以外」の媒体への露出も最低限は必要になってくるでしょう。

ここで更に根本的な注意点に思い至ります。いかに情報化が進んだ現代といえど、日常的にインターネットを閲覧することのない層の人々は依然として存在しているということです。ターゲットユーザーの策定によってそれらの人々を「切り捨てて」いる場合は特に問題になりませんが、ネットを閲覧しない層の人々にも情報を届ける必要があるという場合、WEBブランディングだけでは足りず、他の媒体を利用したブランディングも組み合わせなければならないということになります。