第1回 ブランディングとは?

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Brand Concept on Blackboard

近年、「ブランディング」という言葉がビジネスシーンでもよく聞かれるようになりました。従来は「ブランド」の概念はファッションや輸入車などの高級消費財に関して使われるイメージでしたが、いまや一般企業や商店、個人に至るまで、経済活動を行う全ての主体がブランディングを意識する時代になったといっても過言ではありません。

幅広い文脈で使われるブランディングというターム。このブランディングとは、自己の商品やサービスを世間に認知されるブランドとして育て上げ、またそのブランドイメージを強化・維持していく活動を指します。ブランディングの対象となるのは、商品やサービスは勿論のこと、それを提供する企業や団体、そこに属する個人、展開するイベントなど、有形無形を問わず様々なものが挙げられます。平たく言えば、市場においてアイデンティティを確立するための活動全てがブランディングだといえるでしょう。

ブランディングの目的

企業や団体がブランディングによって目指すものは何でしょうか。

ブランディングの大きな目的の一つは、競合との差別化です。多くの企業が同種の商品やサービスを展開している現代において、競合他社に打ち勝つためには強いブランド力が必要不可欠です。そこで、多くの企業が独自のブランドネームやロゴを制定し、消費者から競合と区別して認識されることに心血を注いでいるのです。

ブランドイメージの確立に伴い、消費者の選択意思決定を単純化・固定化することも可能になります。「車ならトヨタ」「ビールならアサヒ」などと特定のブランドが消費者の意識にインプットされ、知識が整理されることで、消費者は再び同じブランドのものを選ぶようになります。こうして消費者からの好感度や信頼が増大することにより、後に述べる「ブランド・ロイヤリティ」、即ちブランドへの忠誠心の向上にも繋がります。

ブランディング戦略が功を奏し、消費者にブランドが強く認知されれば、もはや競合との価格競争でしのぎを削る必要も薄くなります。品質度外視で価格を下げなくても、ブランド自体の価値がしっかりと消費者に認識されているためです。また、逆に、ブランドが認知されることで価格プレミアムを獲得し、同品質の商品やサービスを競合よりも高く買ってもらうことも可能になります。

こうした様々な恩恵により、結果として、プロモーションコストを削減することもできます。世間に広く認知されるブランドが確立されれば、もう無駄に宣伝コストを掛ける必要はないということです。これがビジネスにおけるブランディングの到達点といえます。

ブランディングの4つの観点

一口にブランディングと言っても、その展開手法にはいくつかの段階があります。ここでは、「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「ブランド・ロイヤリティ」の4つの観点から、ブランドの資産価値を向上させるためのブランディング手法について見てみましょう。

1.ブランド認知

ブランド認知とは、ある企業や商品のブランドがどの程度知られているのかを示す観点です。「メルセデス・ベンツ」「シャネル」「マイクロソフト」「ヒルトン」、あるいは「マクドナルド」「セブンイレブン」「高須クリニック」「進研ゼミ」……いずれも、その名を聞いただけで何のブランドであるかがわかり、また競合と比べてどういった特徴を持つブランドであるかも想起できる場合が多いでしょう。こうした場合を、ブランド認知の内の「ブランド再認力」が高いと言います。

また、「ビールといえば?」「銀行といえば?」「レンタルビデオ店といえば?」「動画再生サイトといえば?」といった具合に特定のジャンルを挙げられたとき、誰でも一つ二つは思い浮かぶブランド名があることでしょう。このような場合は、ブランド認知の内の「ブランド再生力」が高い状態であるといえます。

ブランド再認力とブランド再生力、いずれもブランディングの目標として欠かすことができないものです。

2.知覚品質

知覚品質という観点は、競合と比べたときに知覚できる品質や優位性を示すものです。例えば、同じハンバーガーショップのチェーンである「マクドナルド」と「モスバーガー」は、どちらがどういった点で優れているでしょうか。一方にあり、他方にない強みとは何でしょうか。恐らく誰もがいくつかの点を挙げることができると思いますが、ここで挙がってくる強みの一つ一つが「知覚品質」です。パフォーマンス、付加価値、信頼性など、いくつかの知覚品質の組み合わせによってブランドの競合優位性は成り立っているのです。

安さや品質など、何に価値を置くかは人それぞれですので、ある消費者にとってはブランドAの方が好ましく感じられ、別の消費者にはブランドBの方が気に入られるといったことも珍しくありません。

3.ブランド連想

ブランド連想とは、消費者の一人一人が持つ、ブランドに関する記憶やイメージのことです。例えば「ディズニー」というブランドから何が連想できるか。アニメ作品やキャラクターは勿論のこと、ディズニーリゾートやそのアトラクション、舞浜という地名、あるいは地下通路の都市伝説や著作権の厳しさを連想する人もいるかもしれません。「ディズニーリゾートに恋人と行った」などの個人的な記憶も含め、そのブランドから連想される全ての事象がブランド連想になります。

ブランディングの戦略としては、よりポジティブなブランド連想を、より多く、より強く消費者の記憶に刻み込むことが重要です。

4.ブランド・ロイヤリティ

消費者がブランドに対してどの程度の忠誠心、執着心を持っているか。それを表す観点がブランド・ロイヤリティです。「車は○○と決めている」「ビールは○○しか飲まない」など、誰にでもこだわりのブランドがいくつかあるものでしょう。そうした執着を持っている状態を、ブランド・ロイヤリティが高いと言います。ロイヤリティとは即ち忠誠心です。ひとたびブランドに高い忠誠を誓った消費者は、そう簡単には競合の商品に流れることはありません。

ブランディングによって競合との差別化を行い、数多ある競合の中から自社の商品・サービスを選択してもらい、さらにその顧客を離れないよう繋ぎ止める。そうした弛まぬ努力を積み重ねた先に確立されるのがブランド・ロイヤリティであり、これを高い状態に保つことがブランディングの最大の目標ともいえるのです。